溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
「そういえば優花の顔は、今まで一度も見たことがないな。今回も行かないの?」
「うん。行っても話せる人がいないから」
ひとりぼっちになることがわかっているところに乗り込む勇気は、優花にない。さすがに同窓会に本を持参して、片隅で読むわけにはいかないだろうから。
「俺がいるじゃん?」
「片瀬くんはほかのみんなが放っておかないでしょ?」
優花が、ただひとりだけ話せる片瀬のそばにいられるはずもない。
「別にそんなことはないよ。だから行こう」
「でも返事を出してないから」
「立食のブッフェスタイルだから、人数はおおよそで平気なはず。飛び入り参加でも問題ないよ」
片瀬に言いくるめられ、優花は最後には頷くことになってしまった。
「今夜の優花は、いつもよりよくしゃべるね」
「……うるさい、かな?」
「全然。むしろ楽しいよ」