溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
「職だけじゃなく、部屋も探してるの?」
「えっ?」
「いや、さっきそこを見てたみたいだから」
片瀬が不動産屋を親指で差す。
(そんなところまで見られていたなんて……!)
職も部屋もない。ないないづくしだ。
「あ、うん……実は、今住んでるところを出なくちゃならなくて」
そんな場面を見られていたのでは嘘もつけない。優花は、それにも正直に答えた。
どうしてこんな状況下で片瀬と会ってしまったのだろう。奇跡的な再会を果たすなら、せめて仕事が見つかってからの方がよかった。
そう思ったところで、この巡りあわせを変更することはできないけれど。
焦る優花の前で、片瀬は腕組みをして顎に手を添える。そしてなにかを考えるようにしばらく視線を彷徨わせたあと、とんでもないことを言ってのけた。
「それなら俺の部屋に来れば?」
「……え?」