溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

恐れ多いと首を横に振る。久しぶりに会ったから社交辞令の類だろう。


「宮岡さん、美人だし、物静かでみんなとワイワイ騒ぐタイプじゃなかったでしょう? だから高校生のときはどことなく近寄りがたい感じがして、みんなもなかなか話しかけられなかったんだよね。でも、お互いにいい大人になったからかな、気楽に話せそう」


亜衣は人懐こい笑みを浮かべた。


「あれ? なにも飲んでないの? じゃあこっちこっち」


優花がなにも手にしていないことに気づいた亜衣が、ドリンクコーナーへと連れだす。友達に手を引かれる些細なことがくすぐったい。

(小野さんは高校生の頃と変わらないな。あの頃もこうして私をかまってくれて……)

当時の優花は、そんな優しさにどう反応したらいいのかわからなくて、素っ気ない態度をしていた。それが余計に近寄りがたい雰囲気を醸し出すことになったのだろう。

(もっと話しておけばよかったな)
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