溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

どれがいい?と気遣ってくれる亜衣の優しい横顔をついじっと見つめていると、


「ん? なにどうしたの?」


亜衣が目を瞬かせて小首を傾げる。


「あ、ううん。えっと、それじゃ……ジンジャーエールで」
「はい、どうぞ」


細かい気泡が浮かぶグラスを手に取った亜衣は、それを優花に渡してくれた。

亜衣が主導権を握ってくれるおかげで、その後の会話が思った以上に弾む。〝優花〟と〝亜衣〟と名前で呼び合うようになるまで、それほどの時間はかからなかった。

どうしてこんなことが高校生のときにできなかったのだろうかと、自分でも不思議でならない。

連絡先を交換しようということになったが、片瀬にいきなり連れ出されてしまったため、優花はスマートフォンを持っていない。


「慌てて出てきたから忘れてきちゃった……」
< 96 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop