溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
優花が恥ずかしそうに笑うと、「意外とおっちょこちょいなんだね」と亜衣はコロコロと笑い声を立てた。
亜衣が手帳から切り取ったメモで連絡先を交換していると、「おーい、亜衣」と声をかけてくる男の人がいた。短髪の髪を整髪料で固めた背の高い人だ。
「あれ? 一緒にいるのは誰だ……?」
オーバルのメガネの奥から覗かせる目を細め、優花を見ながら近づく。
「誰だと思う?」
亜衣がいたずらになぞかけをすると、その人は「えっと……あぁ! もしかして、宮岡さん?」とパッと顔を輝かせた。
「うわぁ、マジかよ。初めてじゃないか?」
「うん……」
この人は誰なのだろうと優花がゆっくり首を傾げると、「俺のことわからない?」とその人が自分を指差した。