溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
「残念だったね、滝口くん」
おもしろがる亜衣を滝口は肘で小突いた。
「それにしても宮岡さんは相変わらず綺麗だよなぁ。亜衣とは大違い」
「ちょっと! なによそれ!」
「事実を言ったまでだ」
「ひどーい!」
突然言い合いを始めたふたりだったが、本気というよりはじゃれ合っているように見えるため、優花がクスクスと笑いだす。
それに気づいたふたりがピタリと口論を止めた。
「ほらぁ、優花に笑われちゃったじゃない」
「お前のせいだろ」
毒づき合いながらも、親密な雰囲気は変わらない。
(こういうやり取りに憧れたんだよね)
そんなふたりを優花は羨ましい思いで見つめた。
賑やかなふたりの声が聞こえたか、優花たちの周りにぱらぱらと人が集まり始める。