Crazy for you ~引きこもり姫と肉食シェフ~
「今回のドームツアーが全部終わったら、Cacco with bangは解散する……て!」
「解散……!?」
さすがに莉子も驚いた。そんな言葉は聞いた覚えがない。
ドームツアー自体はまだ2会場を残している、あと一ヶ月余りで解散となるのだ。
「この間のKK辞める宣言も衝撃だったけど、まだ歌いはするって言ってたから安心してたのに……」
音楽番組に出ていたのは莉子だと、拓弥には誤魔化さずに莉子本人の口から話した。倒れたとは勿論公表されていないが、その為に引っ張りだされた代役だったとは納得してくれたようだ、口外しないと約束してくれた。
KK引退の話も根張り葉堀り聞かれたが、香子の意思を言っただけだと莉子は伝えてある、真相など言えるはずもない。
「やっぱ、疲れちゃったんだなあ……兄ちゃんの所為で」
「俺の所為じゃない、メディアの所為だ」
拓弥だって判っている、そもそも勝手に騒ぎ立てたメディアが悪いのだ。
「莉子さあん、Caccoに辞めないでって伝えてーっ!」
「そんな事……」
言うのは簡単だが、きっとまた歌を作れと言われると思えた。自分が辞めたのが直接の原因ではないと信じたい、それでも引き金ではあったろうとは思う。
(あ、でも、橘専務と独立しようともしてるんだっけ……)
それも解散宣言の一端だろうか、だとしたらやはり自分の出る幕ではないだろう。
「そんなもん、莉子には関係ない。香子に働き掛けたいんなら、ファン仲間と協力してやればいいだろう」
尊の言う事はもっともだ。
「そうだけどさあ……莉子さん、妹だし……」
「あの女は、莉子がなんか言って動く女じゃない」
尊は冷たく言い放つ。
「あの女……って、兄ちゃん、会った事あんの!?」
「ああ。もう二度と会いたくないけどな」
「ズルい! いつ!? うち呼んで!」
「お前な、俺は会いたくないと……」
「会いたくないって言ったって、莉子さんと結婚したらきょうだいになるんだよ!? きょうだいに会いたくないって駄目だろ!」
言われて、莉子と尊は見つめ合ってしまった。
「うお、そっか! マジか! すげー! 兄ちゃんと莉子さんが結婚したら、俺、Caccoの弟になるんだ!!! 本当かよ! 兄ちゃん、いますぐ結婚してくれ!」
「今すぐって、お前、何を言って……」
「明日するも、来年するも変わんないじゃん! どうせすんなら今すぐしてよ! んで俺はCaccoの弟としてCaccoに……!」
熱く解散の諦めさせる作戦を語り出した拓弥を無視して、尊は隣に座る莉子の手をそっと握った。莉子は一瞬驚いて腕を硬直させたが、顔を真っ赤にしつつもその手を握り返す。
「Tu voudrais devenir ma femme?(俺の嫁さんになる?)」
フランス語で言われて、莉子は面食らう。
「……え、なんて……?」
尊は微笑むと、腕を引き、莉子の後頭部に手を掛け引き寄せ、額を突き合わせて言う。
「答えは、Oui」
「う、うぃ……」
それはフランス語で「はい」の意味だとは判るが、何故それを言わされたのか、訳も判らず莉子は答えていた。尊は嬉しそうに微笑んで莉子を抱き締める。
尊の腕の中で、莉子はなおも訳が判らない。それでも尊がほんの少し体を離して覗き込むようにしたので、莉子はすぐに心持ち顔を上げてそれを待つ。
「解散……!?」
さすがに莉子も驚いた。そんな言葉は聞いた覚えがない。
ドームツアー自体はまだ2会場を残している、あと一ヶ月余りで解散となるのだ。
「この間のKK辞める宣言も衝撃だったけど、まだ歌いはするって言ってたから安心してたのに……」
音楽番組に出ていたのは莉子だと、拓弥には誤魔化さずに莉子本人の口から話した。倒れたとは勿論公表されていないが、その為に引っ張りだされた代役だったとは納得してくれたようだ、口外しないと約束してくれた。
KK引退の話も根張り葉堀り聞かれたが、香子の意思を言っただけだと莉子は伝えてある、真相など言えるはずもない。
「やっぱ、疲れちゃったんだなあ……兄ちゃんの所為で」
「俺の所為じゃない、メディアの所為だ」
拓弥だって判っている、そもそも勝手に騒ぎ立てたメディアが悪いのだ。
「莉子さあん、Caccoに辞めないでって伝えてーっ!」
「そんな事……」
言うのは簡単だが、きっとまた歌を作れと言われると思えた。自分が辞めたのが直接の原因ではないと信じたい、それでも引き金ではあったろうとは思う。
(あ、でも、橘専務と独立しようともしてるんだっけ……)
それも解散宣言の一端だろうか、だとしたらやはり自分の出る幕ではないだろう。
「そんなもん、莉子には関係ない。香子に働き掛けたいんなら、ファン仲間と協力してやればいいだろう」
尊の言う事はもっともだ。
「そうだけどさあ……莉子さん、妹だし……」
「あの女は、莉子がなんか言って動く女じゃない」
尊は冷たく言い放つ。
「あの女……って、兄ちゃん、会った事あんの!?」
「ああ。もう二度と会いたくないけどな」
「ズルい! いつ!? うち呼んで!」
「お前な、俺は会いたくないと……」
「会いたくないって言ったって、莉子さんと結婚したらきょうだいになるんだよ!? きょうだいに会いたくないって駄目だろ!」
言われて、莉子と尊は見つめ合ってしまった。
「うお、そっか! マジか! すげー! 兄ちゃんと莉子さんが結婚したら、俺、Caccoの弟になるんだ!!! 本当かよ! 兄ちゃん、いますぐ結婚してくれ!」
「今すぐって、お前、何を言って……」
「明日するも、来年するも変わんないじゃん! どうせすんなら今すぐしてよ! んで俺はCaccoの弟としてCaccoに……!」
熱く解散の諦めさせる作戦を語り出した拓弥を無視して、尊は隣に座る莉子の手をそっと握った。莉子は一瞬驚いて腕を硬直させたが、顔を真っ赤にしつつもその手を握り返す。
「Tu voudrais devenir ma femme?(俺の嫁さんになる?)」
フランス語で言われて、莉子は面食らう。
「……え、なんて……?」
尊は微笑むと、腕を引き、莉子の後頭部に手を掛け引き寄せ、額を突き合わせて言う。
「答えは、Oui」
「う、うぃ……」
それはフランス語で「はい」の意味だとは判るが、何故それを言わされたのか、訳も判らず莉子は答えていた。尊は嬉しそうに微笑んで莉子を抱き締める。
尊の腕の中で、莉子はなおも訳が判らない。それでも尊がほんの少し体を離して覗き込むようにしたので、莉子はすぐに心持ち顔を上げてそれを待つ。