Crazy for you ~引きこもり姫と肉食シェフ~
***
『メッセージを再生します』
香子? あの……莉子です。
拓弥くんから、解散するって聞いたの。あ、拓弥くんって、尊の弟なんだけど……。
ごめん、私の所為なのかな。ごめん、謝っても取り返しのつかない事なんだけど……。
でも、ごめん、相談もしなくて。でも本当に、私もう限界で……香子のいる世界が凄いと思ったよ、香子は凄い世界で頑張ってたんだね。そう思ったら苦しくて。あの、ハル君たちは大丈夫? 解散の話はすんなりできた? ごめん、なんか香子に電話するの初めてで緊張してる……言ってる事滅茶苦茶だよね。
あ、あのね、拓弥くんが香子に会いたいって言ってるの。できれば解散を辞めて欲しいから説得したいって。拓弥くん、香子の大ファンなんだ。よかったら会って欲しくて……。
あの、だからね、よかったら今度みんなで会わない? 改めて尊の事も紹介したいの。よかったら、お父さん達も呼んで。お父さんたちもお疲れ様って言ってたよ。お疲れ様会しようって言ってた。
あの。解散したら少しは時間、できるよね? そちらの都合に合わせるから、よかったら電話して。私が嫌だったら、お父さんかお母さんでも……。私ももう、電源切ったりしないから。
いつまでも、待ってるね。
『ぴー』
香子はベッドの中で、スマホの画面を消した。
「会いたい、か」
同じベッドでグラスを傾けていた龍一が呟く。
都内のホテルでの逢瀬だった。香子は床に散らばる衣服の上に、スマホを放り出す。
「尊を紹介したいって。勝ち組アピールね」
「弟くんもって言ってたじゃないか。尊本人が無理なら弟で我慢しておけば?」
「何言ってるの、弟が代わりになんてならないわよ」
「へえ?」
香子の主張を龍一は鼻で嗤う、莉子を想う男を寝取ってきた事は知っている。
子自身も発言の矛盾に気付く、小さく咳払いをして誤魔化した。
「会ってやったら?」
龍一は笑いながら言う。
「莉子ちゃんも相当な覚悟で電話してきたんだろ」
「会わないわよ。面倒くさい」
「香子……」
龍一は優しく呼んで、香子を抱き寄せ裸の胸に押し当てた。香子は素直に寄りかかり、手のひらでそっとその胸を撫でる。
「──莉子は嫌い」
そんな告白に、龍一は黙って香子をさらに抱き寄せた。
「なんで莉子なんかいるの……せめて、双子じゃなかったら……こんなに顔が似ていなかったら……」
溢れてくる涙を龍一の体に擦り付ける。
莉子は子供の頃から大人しかった、絵本やおままごとが大好きな、絵に描いたような女の子だった。対して香子はおてんばで、外で元気に遊ぶのが好きだった、男の子相手でも平気で遊具の取り合いをした。
そんな二人を見て、周りの人は笑う。
『一卵性の双子なのに、全然似てないよね』
似ていなくて何が悪いと、子供心に思った。何故似ていなくてはならないのだ、莉子は莉子、自分は自分だと幼心に思う。さらに褒められるのは、女の子らしい莉子だった、それが妬ましかった。 落ち着きがあり聞き分けのある莉子は、良い子のお手本だった。周りの大人は莉子ばかり見ていると思った。
『メッセージを再生します』
香子? あの……莉子です。
拓弥くんから、解散するって聞いたの。あ、拓弥くんって、尊の弟なんだけど……。
ごめん、私の所為なのかな。ごめん、謝っても取り返しのつかない事なんだけど……。
でも、ごめん、相談もしなくて。でも本当に、私もう限界で……香子のいる世界が凄いと思ったよ、香子は凄い世界で頑張ってたんだね。そう思ったら苦しくて。あの、ハル君たちは大丈夫? 解散の話はすんなりできた? ごめん、なんか香子に電話するの初めてで緊張してる……言ってる事滅茶苦茶だよね。
あ、あのね、拓弥くんが香子に会いたいって言ってるの。できれば解散を辞めて欲しいから説得したいって。拓弥くん、香子の大ファンなんだ。よかったら会って欲しくて……。
あの、だからね、よかったら今度みんなで会わない? 改めて尊の事も紹介したいの。よかったら、お父さん達も呼んで。お父さんたちもお疲れ様って言ってたよ。お疲れ様会しようって言ってた。
あの。解散したら少しは時間、できるよね? そちらの都合に合わせるから、よかったら電話して。私が嫌だったら、お父さんかお母さんでも……。私ももう、電源切ったりしないから。
いつまでも、待ってるね。
『ぴー』
香子はベッドの中で、スマホの画面を消した。
「会いたい、か」
同じベッドでグラスを傾けていた龍一が呟く。
都内のホテルでの逢瀬だった。香子は床に散らばる衣服の上に、スマホを放り出す。
「尊を紹介したいって。勝ち組アピールね」
「弟くんもって言ってたじゃないか。尊本人が無理なら弟で我慢しておけば?」
「何言ってるの、弟が代わりになんてならないわよ」
「へえ?」
香子の主張を龍一は鼻で嗤う、莉子を想う男を寝取ってきた事は知っている。
子自身も発言の矛盾に気付く、小さく咳払いをして誤魔化した。
「会ってやったら?」
龍一は笑いながら言う。
「莉子ちゃんも相当な覚悟で電話してきたんだろ」
「会わないわよ。面倒くさい」
「香子……」
龍一は優しく呼んで、香子を抱き寄せ裸の胸に押し当てた。香子は素直に寄りかかり、手のひらでそっとその胸を撫でる。
「──莉子は嫌い」
そんな告白に、龍一は黙って香子をさらに抱き寄せた。
「なんで莉子なんかいるの……せめて、双子じゃなかったら……こんなに顔が似ていなかったら……」
溢れてくる涙を龍一の体に擦り付ける。
莉子は子供の頃から大人しかった、絵本やおままごとが大好きな、絵に描いたような女の子だった。対して香子はおてんばで、外で元気に遊ぶのが好きだった、男の子相手でも平気で遊具の取り合いをした。
そんな二人を見て、周りの人は笑う。
『一卵性の双子なのに、全然似てないよね』
似ていなくて何が悪いと、子供心に思った。何故似ていなくてはならないのだ、莉子は莉子、自分は自分だと幼心に思う。さらに褒められるのは、女の子らしい莉子だった、それが妬ましかった。 落ち着きがあり聞き分けのある莉子は、良い子のお手本だった。周りの大人は莉子ばかり見ていると思った。