Crazy for you ~引きこもり姫と肉食シェフ~
兄弟で姉妹と結婚するとなったら、少し居心地が悪いのではないだろうか。
「でも、拓弥くんは、歌手としての香子が好きなだけだと思うけど?」
いざ会った時。
もっと会話をすればいいのに、と思うのだが、拓弥は見ていればいい、香子の声が聞ければいい、と言う雰囲気だ。
拓弥が使うドライヤーの音がする中、香子がやってきた。
「いらっしゃい」
莉子は嬉しそうに出迎える。
「こんにちは、遅くなってごめんね」
香子も笑顔で言い、靴を脱いで上がる。
「ううん、大丈夫だよ」
特に店を予約している訳ではない、時間の制限はなかった。
香子がリビングダイニングに現れると、ちょうど尊がテーブルにある皿にラムのソテーをサーブしているところだった。既に前菜やサラダも盛りつけられたワンプレート仕様だった。
「こんにちは、尊さん」
声をかけられ尊は視線を上げる。
睨む様な視線、小さな「どうも」と言う声、義理でもきょうだいとなるのに、頑なに嫌われていると香子は肩を竦める。
「お酒は?」
莉子が聞く。
「もらうー」
ワインはまだキッチンにあった、取りに行く莉子の後を尊が追うようにキッチンに戻った。 莉子は並んだ二本の内、どちらにしようかと尊を見上げて相談している。
「──お幸せそうで」
思わず小声で言っていた。やがて拓弥も揃い、四人で食事が始まる。
拓弥はやはり緊張でもしているのか、一言も発しない。 香子は三杯目の赤ワインを莉子に注いでもらいながら、話を始める。
「あ、ねえ、披露宴にHAL(ハル)と流星も来たいって言ってるんだけど」
Cacco with bangのメンバーだ、当然拓弥が反応する。
「えっ! 三人が揃うの!?」
「うん、そう。でも一応、花嫁側の招待客に男って呼ばないでしょ。だから無理かなあとは言ってたけど。駄目かな?」
HAL(ハル)も流星も、莉子が香子のゴーストライターだったとは知らないし、私生活でも特別親しかった訳ではない。それでも中高と同じ学校に通い、特に高校に上がってからはバンドのメンバーとして香子と親しかった分、莉子としても他の友人とは一線を画く。
「あ……私は元々招待客も少ないし……二人くらい増えてくれた方が……尊が良ければかな」
「こっちも海野月子が呼べってうるさいからな。お互い様だ、いいんじゃね?」
尊はそんな風には思っていないであろう口調で言った。月子も呼びたくないし、莉子が作った曲を奏でていた連中にも、あまり好意的ではない。
「え、本当!? いいの!? 二人とも喜ぶわ! じゃあ、せっかくだもん、三人で歌おうかな!?」
「うおっ、マジか! Caccoの生歌、聴ける!?」
「でも、拓弥くんは、歌手としての香子が好きなだけだと思うけど?」
いざ会った時。
もっと会話をすればいいのに、と思うのだが、拓弥は見ていればいい、香子の声が聞ければいい、と言う雰囲気だ。
拓弥が使うドライヤーの音がする中、香子がやってきた。
「いらっしゃい」
莉子は嬉しそうに出迎える。
「こんにちは、遅くなってごめんね」
香子も笑顔で言い、靴を脱いで上がる。
「ううん、大丈夫だよ」
特に店を予約している訳ではない、時間の制限はなかった。
香子がリビングダイニングに現れると、ちょうど尊がテーブルにある皿にラムのソテーをサーブしているところだった。既に前菜やサラダも盛りつけられたワンプレート仕様だった。
「こんにちは、尊さん」
声をかけられ尊は視線を上げる。
睨む様な視線、小さな「どうも」と言う声、義理でもきょうだいとなるのに、頑なに嫌われていると香子は肩を竦める。
「お酒は?」
莉子が聞く。
「もらうー」
ワインはまだキッチンにあった、取りに行く莉子の後を尊が追うようにキッチンに戻った。 莉子は並んだ二本の内、どちらにしようかと尊を見上げて相談している。
「──お幸せそうで」
思わず小声で言っていた。やがて拓弥も揃い、四人で食事が始まる。
拓弥はやはり緊張でもしているのか、一言も発しない。 香子は三杯目の赤ワインを莉子に注いでもらいながら、話を始める。
「あ、ねえ、披露宴にHAL(ハル)と流星も来たいって言ってるんだけど」
Cacco with bangのメンバーだ、当然拓弥が反応する。
「えっ! 三人が揃うの!?」
「うん、そう。でも一応、花嫁側の招待客に男って呼ばないでしょ。だから無理かなあとは言ってたけど。駄目かな?」
HAL(ハル)も流星も、莉子が香子のゴーストライターだったとは知らないし、私生活でも特別親しかった訳ではない。それでも中高と同じ学校に通い、特に高校に上がってからはバンドのメンバーとして香子と親しかった分、莉子としても他の友人とは一線を画く。
「あ……私は元々招待客も少ないし……二人くらい増えてくれた方が……尊が良ければかな」
「こっちも海野月子が呼べってうるさいからな。お互い様だ、いいんじゃね?」
尊はそんな風には思っていないであろう口調で言った。月子も呼びたくないし、莉子が作った曲を奏でていた連中にも、あまり好意的ではない。
「え、本当!? いいの!? 二人とも喜ぶわ! じゃあ、せっかくだもん、三人で歌おうかな!?」
「うおっ、マジか! Caccoの生歌、聴ける!?」