Crazy for you ~引きこもり姫と肉食シェフ~
拓弥のリアルな喜びに、香子はご満悦だ。そのままの笑みで言葉を続けた。
「──ねえ? 莉子、歌作らない?」
「えええ!?」
莉子は驚き、尊は片眉を上げた。
「な、なんで……!?」
「うちらが歌ってた曲じゃ、なんか宣伝みたいじゃない、やめたのに。だったらその日の為だけの新曲を歌いたいわ」
「──却下」
尊はつまらそうに、短く言う。
「莉子が作る必要性を感じない。身内が余興やるなんて聞いたことないし」
莉子がかつては曲を作るのが楽しくて仕方ない、と言う雰囲気ではなかったことを尊は知っている。ましてや目の前の女のゴーストライターをしていたのだ。
「そっかあ、そうだよねえ」
香子は殊更残念そうに言う。
「じゃあ、顔見せだけにしとくかあ」
「やだ!」
声を上げたのは拓弥だ。
「三人が並んだ姿を見たい! 三人が並んで歌ってるとこ、見たい! しかもその日の為だけの歌!? ちょー貴重だぞ!」
「もう、拓弥くん、大袈裟ー」
謙遜のように言うが、香子は嬉しそうだ。
「じゃあ、三人で作った歌を聴かせてほしい」
尊の言葉はもっともだ。
「そうだよ、花嫁が作った歌を歌うなんて……恥ずかし過ぎるよ……!」
莉子も頬を赤くして抵抗した。
香子は余裕を見せて微笑む。
「何言ってんの。花嫁の嬉しい気持ちを言葉にしてよ。そりゃ私からおめでとうって気持ちを込めた歌にしてもいいけどさ。どうせなら嬉しい、幸せ、今日の私を見て見てって歌の方が、受けが良さそうじゃない」
「み、見て見て……って」
莉子はますます頬を赤くした。
「Cacco with bangの幻のラストシングルになるじゃん!」
拓弥が興奮して言う。
「うんうん、そうなるわね」
香子が嬉しそうに微笑む。
「妹の為だけ歌う、幻の一曲よ?」
「うわ、マジか! それを聴ける幸せ! 莉子さん、作ってよ!」
「拓弥」
尊は睨みを効かせて拓弥を呼ぶ、拓弥は訳も判らず首を竦めて口を閉じる。
「香子さん、歌なら既存のものでいいので。ご自分の曲が嫌なら、他の歌手の物でも」
同じ視線のまま香子も見る、香子はそれくらいでは怯まない。
「こちらもプロなのよ。それ相応の舞台は欲しいわ」
「じゃあ歌ってくれなくていいです」
「何、勿体無いこと言ってんだよ、兄ちゃん!」
拓弥はテーブルに拳を叩きつけて言った。
「Cacco with bangだぞ! その生歌聴けるって無いからな! もう解散もしてて!」
熱く語り出した拓弥を、尊は呆れて「もういいから」と止め、莉子はそんな仲睦まじい二人の様子を笑って見ていた。
香子は、顔には出さず心の中でせせら笑う。
(いいわよ、拓弥くん。感謝するわ)
「──ねえ? 莉子、歌作らない?」
「えええ!?」
莉子は驚き、尊は片眉を上げた。
「な、なんで……!?」
「うちらが歌ってた曲じゃ、なんか宣伝みたいじゃない、やめたのに。だったらその日の為だけの新曲を歌いたいわ」
「──却下」
尊はつまらそうに、短く言う。
「莉子が作る必要性を感じない。身内が余興やるなんて聞いたことないし」
莉子がかつては曲を作るのが楽しくて仕方ない、と言う雰囲気ではなかったことを尊は知っている。ましてや目の前の女のゴーストライターをしていたのだ。
「そっかあ、そうだよねえ」
香子は殊更残念そうに言う。
「じゃあ、顔見せだけにしとくかあ」
「やだ!」
声を上げたのは拓弥だ。
「三人が並んだ姿を見たい! 三人が並んで歌ってるとこ、見たい! しかもその日の為だけの歌!? ちょー貴重だぞ!」
「もう、拓弥くん、大袈裟ー」
謙遜のように言うが、香子は嬉しそうだ。
「じゃあ、三人で作った歌を聴かせてほしい」
尊の言葉はもっともだ。
「そうだよ、花嫁が作った歌を歌うなんて……恥ずかし過ぎるよ……!」
莉子も頬を赤くして抵抗した。
香子は余裕を見せて微笑む。
「何言ってんの。花嫁の嬉しい気持ちを言葉にしてよ。そりゃ私からおめでとうって気持ちを込めた歌にしてもいいけどさ。どうせなら嬉しい、幸せ、今日の私を見て見てって歌の方が、受けが良さそうじゃない」
「み、見て見て……って」
莉子はますます頬を赤くした。
「Cacco with bangの幻のラストシングルになるじゃん!」
拓弥が興奮して言う。
「うんうん、そうなるわね」
香子が嬉しそうに微笑む。
「妹の為だけ歌う、幻の一曲よ?」
「うわ、マジか! それを聴ける幸せ! 莉子さん、作ってよ!」
「拓弥」
尊は睨みを効かせて拓弥を呼ぶ、拓弥は訳も判らず首を竦めて口を閉じる。
「香子さん、歌なら既存のものでいいので。ご自分の曲が嫌なら、他の歌手の物でも」
同じ視線のまま香子も見る、香子はそれくらいでは怯まない。
「こちらもプロなのよ。それ相応の舞台は欲しいわ」
「じゃあ歌ってくれなくていいです」
「何、勿体無いこと言ってんだよ、兄ちゃん!」
拓弥はテーブルに拳を叩きつけて言った。
「Cacco with bangだぞ! その生歌聴けるって無いからな! もう解散もしてて!」
熱く語り出した拓弥を、尊は呆れて「もういいから」と止め、莉子はそんな仲睦まじい二人の様子を笑って見ていた。
香子は、顔には出さず心の中でせせら笑う。
(いいわよ、拓弥くん。感謝するわ)