野獣は時に優しく牙を剥く
「本当は澪の気持ちだけで俺を選んで欲しかったけど、澪に言い訳が必要なら……それでも構わないよ。
部外者なのに秘密を知ってしまうとね。
すごく恐ろしい仕打ちが待ってるから、僕の恋人になってくれるよね?」
また、僕だ。
茶化して話す龍之介のほんの小さな緊張を垣間見て、澪は微笑んでもう一度頷いた。
「はい。だから、その、離れられないんです。」
本当は龍之介自身に惹かれてる。
けれど彼の立場を無視できるほど図太くなれない。
だから、側にいる言い訳が欲しかった。
「ハハッ。すごい殺し文句。」
楽しそうに笑った龍之介は澪の膝裏に手を入れて抱きかかえた。
「ひゃっ。」
抱きかかえたまま龍之介はずんずん歩いていく。
「あ、あの。龍之介さん?」
「この流れで離れられないって言ったんだから覚悟は出来ているよね?」
不敵に笑った龍之介は寝室へ入り、ベッドの上へ澪をそっと降ろした。
そして澪の足元に膝をつく龍之介は性急に服を脱ぎ捨てた。
突然、目の前に現れた男性の裸体に目のやり場に困って慌てて目を背ける。