野獣は時に優しく牙を剥く
「嫌がっても離さないでください」と小さく訴えると「ったく。無自覚なのが心配になるよ」と耳を甘噛みされた。
痺れるような甘い刺激に思わず肩を竦めると「容赦しないからね」と甘く囁かれて、宣言通り甘く溶かされていった。
怖いとか恥ずかしいとか、考える余裕がなくなるほどに甘く溺れて龍之介にしがみつく。
気づかないうちにお互い一糸纏わぬ姿になり、素肌が重なる。
龍之介が触れる部分が熱く溶けるように痺れて、何も考えられない。
体の奥を突く痛みも体の奥から湧き上がる甘美な疼きも龍之介に触れられると甘く痺れて「龍、龍……」と何度も名前を呼んで彼の体にしがみついた。
「澪。愛してるよ。」
余裕のなさそうな切ない顔で囁いた龍之介を見て涙が頬を伝う。
分不相応だと分かっているのに、口に出さずにいられなかった。
「私も、私も好きです。龍之介さん……。」