愛しいのは君だけ
……え?
今日はこの屋敷に誰もいなかったはずだけど。
平日は数人の使用人を雇っているが、今日は休日だったはず。
と言うことは、、、
「グランス、誰かこの屋敷に居るのか」
「あー、勝手に入れてすまん。ここしか連れてこれなかったんだよ。これから紹介する」
そう言って彼は立ち上がると、ドアの方まで歩いていって扉を開ける。
そこには2人の女が立っていた。
「……グランス、ちゃんと説明してからどこかへ行って欲しかった」
背の高い女の方が怒りに震えている。
それを見たグランスは真っ青な顔で後退りした。
「あ、え、何でそんな怒ってんの?!……っ分かった、分かったから!エネ、俺が悪かったよ」
こんなグランスは初めて見た気がする。
よく見れば、女の方はシャルルエネ・ノア・ジェラルドではないだろうか。
てことはただの痴話喧嘩……?
「グランス、シャルル……っストップ!」
背の低い女……少女が慌てて仲裁に入るのが見えた。
……あの子って、さっきの少女?
少女の細い首には白い包帯が巻かれている。
見ていて痛々しい。
.......僕が彼女を守れなかったからだ。