愛しいのは君だけ
「まったく、もう二人は.......!」
少女が口をぷくぅっと膨らませ、二人の姿を見上げて怒っている。
「いや、ごめん。つい.......?」
「もうしないから、怒らないで!ね?」
先程はローブのせいで見えなかったが、少女は白い肌にふっくらとした唇が赤く色付いており、暗くて見えなかった髪の毛は綺麗な"銀色"のロングヘアだった。
今でもこの子があんな風に二本の長剣を振り回して襲いかかってきたなんて信じられない。
それにしても、2人の名前を愛称で呼ぶのを見る限り結構親しい仲のようだけど。
あんな子がグランスの知り合いだなんて、今まで見たことないし聞いたこともない。
まぁ、いい。とりあえず話を聞こう。
「グランス、取りあえず入ってもらって」
普段は女性を入れないけれど、今回だけは特別に部屋へと招き入れた。
少女が入ってくると、部屋の中が甘い薔薇の香りに包まれて早くも酔いそうになる。
「……っ、」
「なぁ、本当に大丈夫か」
グランスが心配そうに顔を覗き込んできた。
彼らはこの香りが気にならないのだろうか。
僕、だけ……?