愛しいのは君だけ

.......っえ、まさか

「……っ第一、王女?!」

同じ名前だと思ったら、まさか本人だったなんて。

でも確かに、髪の毛が銀色だ。

王家の女性は全員綺麗な銀色の髪の毛だと聞いたことがある。

少女が第一王女だから、この2人が一緒にいるってことだったんだ……。

本当に専属騎士だったなんて。

それに第一王女を見たのは初めてだ。

噂によれば第一王女はまだ17歳らしいが、この子は少女と言えど大人びている。


「えぇ、そうです。答えたので、あなたの名前をもう1度教えてくださる?」

「……僕の名前は、ヴィンセント・ジル・ヴァーレンクロイツ。クロスフィリア公爵当主です」

「あなたがクロスフィリア公爵でしたのね。先程は失礼致しました」

そう言って可愛らしく微笑むけど、そう言えばさっきこの子は僕が男だと言ったら変な顔されたっけ。

「それは気にしてません。それより、僕の事男だと思ってなかったのですか?」

「……え?あぁ、いいえ。そういう訳ではありません」

そういう訳じゃないならどういう訳なの。

思わず眉をひそめて怪訝な顔で王女様を見下ろしてしまったけれど、次に彼女が発した言葉に衝撃を受けた。
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