愛しいのは君だけ
「私、______男の人に初めて会いましたの」
「……っは?!」
男に初めて会った?!
意味が分からない。
だって、そしたらグランスは男じゃないのかって話になるよ。
ていうか、宮殿に男がいない訳が無い。
「だから、やめた方がいいって前に言ったのに」
シャルルエネが額に手を当てて深いため息をつく。
グランスは隣で苦笑いを浮かべる。
この2人、絶対何かを知ってる。
「グランス、王女様に何教えてるの」
「え、いや、教育係は俺じゃねぇ!だけど、うちの姫様には男というものを教えたことが無いな」
「王室の教育係って勉強しか教えないの?」
教育係って、生きていくために必要なことなら何でも教えなきゃいけない立場でしょ。
「いや、あの人の考えてることなんてわかんねぇけどさ。多分必要最低限しか教えてないだろ」
いやいやいや、必要最低限って何。
「あのさ、男と女の区別は必要最低限に入らないわけ?一番重要だよ」
「まぁ、要は教育係もグランスも姫様に男を知らないままでいて欲しいと思っているだけです」
ローゼンブルー伯爵令嬢(シャルル)がグランスと目を合わせてにっこり微笑んだ。