愛しいのは君だけ
「ローゼンブルー伯爵令嬢、」
「そんな堅苦しい呼び方やめて下さい。もちろん、敬語もやめて下さいね。私の方が年下ですし。シャルルでいいです」
「……わかっ、た。シャルル、王女様の教育はし直した方がいい」
これじゃあ、これから生きていけなくなる。
男を知らないままで、どうやって結婚して子どもを産むんだか。
「何をそんなに口論してるの?」
ずっと小首を傾げて口を閉ざしていた王女様が眉を寄せて問いかけてきた。
「王女様?もう一度言いますけど、僕は男ですからね?」
「へ……っ?あ、はい」
「あと、グランスも男だから覚えておいて下さい」
しっかりと言い聞かせるようにそう伝えた。
「え、グランスも??」
「……はぁ、姫様。クラウスさんには余計な事話すなよ?わかったか」
「……え、どうして」
「後々面倒だからだ」
「わかった、言わない」
王女様は少々不服そうな表情を浮かべるが、コクリと頷いた。
一体どんな生活してたらこうなるんだか。
本当、王家はよく分からない。
「……あの、クロスフィリア公爵」
「長いし、堅苦しいからヴィンスでいいですよ」