愛しいのは君だけ
【シャルルside】
シエラがこんなにも人に興味を示したのは久しぶりだった。
まぁ、滅多に人と関わることがなかったけれど。
だから、男だと知って触れようとするなんて正直びっくりだった。
それもあってか、ついグランスと2人で止めることをせずにシエラを見守る。
「なぁ、見守るのはいいが見るからにすぐ酔って気絶しそうだぞ」
グランスが小声で囁いてきて、公爵を見てみるとフラリと揺れた。
今まで(と言っても数えるくらい)関わったことある男はここまでなったことが無い。
あったとしても、少し様子がおかしくるだけだったけど彼は先程倒れた。
「……あ、倒れた」
グランスが肩を竦めて苦笑いを浮かべると、シエラがこっちへ歩いてきた。
「やっぱり、私のせい……?」
「そうだな」
「自分では分かんないけど、私の香りって"媚薬"みたいなものなんでしょう?」
「……っぶは、」
「……っな、え??シエラ?!それは誰から聞いたの」
「え、クラウス」
あのクラウスさんが……?
シエラに男を教えなかったクラウスさんがまさかそんな言葉を教えてるなんて信じられない。