愛しいのは君だけ

男性が口元を緩めて剣を構え直すと、少女はくるりと回りながら踊るように二本の長剣を振り回す。

それを交わそうとするが、少女の二本の長剣は容赦なく襲いかかる。


だが、男性の方が一枚上手だった。

二本の長剣のうち一本を男性が薙ぎ払うと、少女の体制が崩れ壁に手を付く。


______その瞬間、少女の長剣を持っている手を押さえつけて首筋に剣を当てて動きを封じ込めた。

その時、フードに隠れていた少女の髪の毛がふわりと風に吹かれて姿を現す。


「……っおん、な……?!」

フードに隠れて見えていなかった為、まさか相手が少女だとは思っていなかったらしく、目を見開いて驚いた。


「……あなた、何者」

少女が剣を下ろし、男性の顔を見上げてようやく口を開く。


「それは、こっちが聞きたいね。君がまさか女……と言うか女の子だとは思わなかった」


「私が"女の子"だと分かってて、容赦なく剣を抜いたのかと思ってた」

少女の瞳が鋭く彼を睨みつけるが、ソプラノの透き通るような声によって鋭さが半減されている。

そんな様子の少女を見た男性は、スッと剣を鞘に戻して彼女から離れた。
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