愛しいのは君だけ
「......っはぁ、女の子だと分かってたら剣は向けてない。僕はそこまで落ちぶれた男じゃないよ?」
「……おと、こ?」
「は……?男だけど、君は一体僕をなんだと思ったの」
男性が訝しげな目で少女を見下ろす。
少女が男性に何かを言おうとした時、
「……っきゃ、」
「へぇ、いい女じゃねぇか?」
目つきが悪く、いかにも危なそうな男が少女を後ろから捕まえ羽交い締めにし、首筋にナイフを突きつけた。
「やめ、て……ッ今すぐ、離しなさい!!」
「……あ?なんだその命令口調は」
「イヤ……ッ離して!!」
少女は顔を歪めて身動ぎした。
「……っ君、それ以上動いたらダメだ!」
「お前は動くなッ動いたらこの女を殺す!」
男性が鞘から剣を抜こうとするが、男がそれを許さなかった。
「……っい、」
男が更にナイフを少女の首筋に寄せた為、身動ぎをした彼女の肌がスッと切れて真っ赤な血が滴る。
そして真っ赤な血はナイフを持っていた男の手に、落ちた。
「……っあぁぁぁぁぁ!!」
その瞬間、男が呻き声をあげてナイフを落とし、手を抑えて地面に倒れる。