クラスメイトの告白。


外では、スタッフの方々がワゴン車から機材を運びだしていた。


体育館で行われるライブの準備がはじまった。


「文化祭、大盛況だな」


肩に手をおかれて横を見ると、隣に伊原くんが立っていた。


「風杏は仕事サボって、テントで休みながらたくさん食ってたけど」


「もぉ~! ちょっと休憩してただけだもん。朝から忙しかったよ」


「冗談だよ。風杏はサボるようなやつじゃないって、俺がよ~く知ってる」


そう言ってニコッと笑う伊原くんは、にくたらしいほどかわいい。


「それよりムーンライトのオーラすごいね。さすがだわ。私と同じ高校生には見えない」


「俺も?」


「うん。なんかキラキラ輝いてる」


「うそつくなよ」


「本当だもん」


もう二度と、変装したクラスメイトの伊原くんは見られないんだね。


本当の姿で、キラキラと輝いた世界に戻るんだ。
< 337 / 372 >

この作品をシェア

pagetop