お兄ちゃん系男子は我慢の限界。



「夏海っ!?」


慌ててドアを開けると、部屋の真ん中で倒れている椅子。そして


「~~っいったぁ」


床に倒れ込み顔をしかめている夏海がいた。



「お、おい!?大丈夫か!?」



慌てて駆け寄り夏海に手を伸ばした、瞬間



「来ないでっ!!」


聞いたことのないような切羽詰まった声が俺の足を止めた。


夏海が大きな瞳で俺を見上げている。



「…夏海?」

「…大丈夫。ちょっと転んだだけだから…」


夏海がゆっくりと立ち上がる。だけど、決して俺に近寄ろうとしない。



「…夏海。俺が怖いか?」


「……だって…」


夏海が俺から視線を逸らして、泳がせた。


…そうだよな。こないだ、突然あんなことされたんだもんな。


しかもずっと、ただの幼なじみで、ただの“お兄ちゃん”だと思ってた男に。



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