お兄ちゃん系男子は我慢の限界。



「…怖がらせてごめん。今日はこれ、返しにきただけだから」


俺は手に持っていた夏海のハンカチを、そっと近くの机に置いた。それだけで、夏海がビクッと肩を震わせる。


…ダメだ。相当怯えられてるじゃん、俺。


夏海とこんな風になりたくなかった。

夏海に男として見られてないことは知ってたし、変に俺が告白とかして、気まずくなるくらいなら、“お兄ちゃん”のままでもいいと思ってた。


それで夏海の傍にいられるのなら。



だけど。最近の俺は色々我慢の限界だった。



“女の子”だと思っていた夏海は、年々女らしくなっていく。


“お兄ちゃん”のままでいいから傍にいたいと思っていたけど、それだけじゃ俺はもう嫌なんだ。


こんな可愛い夏海をその辺の男が放っとくわけない。


誰かに取られるのは我慢がならねぇ。



取られるくらいなら、



壊してやる。





「夏海」




俺の声に、ビクッと肩を揺らした夏海が俺を上目遣いに見上げた。



こんな状況だけど、それだけで俺の中の何かのスイッチが入りそうになる。



「俺、夏海が好きだよ」




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