お兄ちゃん系男子は我慢の限界。
「あら翼くんいらっしゃい!今日も相変わらずイケメンねー♡」
学校が終わり、頃合いを見計らって夏海の家に行くと、夏海のお母さんが出てきてそう言った。
「夏海なら部屋にいるから勝手に上がって?」
年頃の女子の部屋に年頃の男をホイホイ入れるのもどうかと思うが…まぁそこは、幼なじみの特権てやつだ。
「ありがと!おばちゃん」
俺は靴を脱いで、そのまま階段を上がった。
階段をのぼりきって、すぐ右手にあるのが夏海の部屋だ。
ドクドクと心臓が揺れている。
“…落ち着け、俺”
俺は手の中にあるハンカチをギュ、と握りしめると、コンコン、とドアを叩いた。
「…夏海、俺だけど」
裏返りそうになる声を必死に抑えて平静を装う。
すると中からドンガラガッシャァアン!!と何やら物凄い音がした。
…なんだ!?