お兄ちゃん系男子は我慢の限界。



「いいか千葉」


筒井が本を閉じて立ち上がり、俺を見下ろした。


「このままではお前が本田夏海と付き合える可能性はゼロだ。肝に銘じておけ」

「う、うっせー!お前に言われなくても…」


わかってるっつーの!!



教室を出ていく筒井の背中を見送りながら、俺はチッと舌打ちをした。






―――放課後。


もともとバスケ部だった俺だが、3年の今はもう引退している。


たまには勉強して帰るか…もうそろそろ本格的に受験生だしな…。


なんて思いながら図書室のドアを開けると、



「すごい鈴木くん!天才♪」

「いやいや…それほどでも」


手前の方の机で向かい合い、楽しそうに話している夏海と、筒井を100倍感じ良くしたような眼鏡男子がいた。


…誰だこいつ!?



「おい夏海!」


慌てて夏海に駆け寄る俺。「あ、お兄ちゃん」と夏海が呑気な声をあげる。


「おま…何してんだよ!?」

「何って、勉強だけど?ほら中間近いしさぁ」


「じゃぁ本田さん、僕はこの辺で」


その時眼鏡男子が立ち上がった。


「あ、うん!ありがとうね鈴木くん!」

「うん、また明日ね」


眼鏡男子は俺にもちょっと会釈して、帰っていった。


つーか“鈴木”って…



『はぁぁ!?告られたぁ!?』

『んー、同じクラスの鈴木くん』



まさか!!



< 5 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop