お兄ちゃん系男子は我慢の限界。
「いいか千葉」
筒井が本を閉じて立ち上がり、俺を見下ろした。
「このままではお前が本田夏海と付き合える可能性はゼロだ。肝に銘じておけ」
「う、うっせー!お前に言われなくても…」
わかってるっつーの!!
教室を出ていく筒井の背中を見送りながら、俺はチッと舌打ちをした。
―――放課後。
もともとバスケ部だった俺だが、3年の今はもう引退している。
たまには勉強して帰るか…もうそろそろ本格的に受験生だしな…。
なんて思いながら図書室のドアを開けると、
「すごい鈴木くん!天才♪」
「いやいや…それほどでも」
手前の方の机で向かい合い、楽しそうに話している夏海と、筒井を100倍感じ良くしたような眼鏡男子がいた。
…誰だこいつ!?
「おい夏海!」
慌てて夏海に駆け寄る俺。「あ、お兄ちゃん」と夏海が呑気な声をあげる。
「おま…何してんだよ!?」
「何って、勉強だけど?ほら中間近いしさぁ」
「じゃぁ本田さん、僕はこの辺で」
その時眼鏡男子が立ち上がった。
「あ、うん!ありがとうね鈴木くん!」
「うん、また明日ね」
眼鏡男子は俺にもちょっと会釈して、帰っていった。
つーか“鈴木”って…
『はぁぁ!?告られたぁ!?』
『んー、同じクラスの鈴木くん』
まさか!!