お兄ちゃん系男子は我慢の限界。
「ちょっ…お兄ちゃん!?」
夏海を強引に奥まで引っ張っていき、ドン、と本棚に押し付ける。
「ど…どうしたの突然…?」
俺の両腕にはさまれて逃げ場を失くした夏海が、不安気に瞳を揺らした。
「俺は妹なんて思ったことねーよ」
「…え…?」
「勉強なら俺が教えてやる。他の男に頼んでんじゃねー」
そして俺は衝動のまま、夏海の唇にキスをした。
一緒にいて11年。
はじめて触れたアイツの唇は、思っていたよりも柔らかくて、思っていたよりも温かくて。
パシッ…
続けて俺の頬を襲ったのは鋭い痛み。
我に返った俺を、夏海が涙目で睨みつけていた。
「お兄ちゃんの、バカ…!」
「あっおい、夏…!」
パタパタと走り去っていく夏海。
……やってしまった。
俺…何してんだよっ…!?