お兄ちゃん系男子は我慢の限界。
「……で、そんな葬式状態になってるわけか」
翌日。
俺の話を聞き終えた筒井が、クイ、といつものように眼鏡を押し上げた。そしていつも通りの冷めた口調で一言、
「バカじゃないのか」
「…るっせ!お前に言われなくても分かってるわ」
あぁ俺はバカだ。大バカものだよ。まさか…
「11年も大切に守り続けてきた幼なじみとの絆を、こんな風にいっ時の衝動で壊してしまうなんてな」
「テメ…俺の思ってること全部言うんじゃねーよ…」
ガクリと机に倒れこむ俺。
「あー…時間戻してぇ…」
「そしたらもうあんなバカなことはしないのに、か?」
筒井がフンと鼻で笑った。
こいつは本当に感じが悪い。今更ながらなんで友達なんだろ俺。
「まぁいいじゃないか。とりあえず一歩前進だ」
「…めちゃくちゃ半笑いの顔で言うな!」
あぁ…。
俺はポケットの中からピンク色のハンカチを取り出した。
夏海が図書室で落としていったものだ。
…夏海に会いにいこう。