スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】
休み時間になる度に、急いで教室を出て桜庭くんから逃げ回ったのに、もう逃げる気力も何も残ってなくて、私は諦めて自分の席の前まで歩いていく。
初めて見る、桜庭くんの寝顔。男子なのに睫毛長いなとか、どちらかと言うと優しそうな顔立ちなんだけど、最近日焼けしたから、前よりちょっとワイルドになったなとか、寝ててもやっぱり綺麗な顔しているな、とか。
私はそんな気の抜けたことを考えながら、桜庭くんを眺める。
このまま、桜庭くんが寝てる間に荷物を持って帰れたらいいのに。
そんな私のささやかな願いは届かなくて、桜庭くんがゆっくりと眼を開けた。
そして、私を見てキスした後と同じように、笑った。
「あー……やっと会えた」
「……桜庭くん、なにしてるの?」
「何って、待ってたんだけど。とわが戻って来るの。探しに行こうかと思ったけど、すれ違ったらやだし。電話かけたら、ここで鳴るしさ」
ここ、と足で机の横に下げていた私の鞄を指す。