スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】
「待ってたら静かすぎて寝てた。どこ行ってたの?」

「……わかんない。フラフラしてたら、時間経ってたから」

 私がぼそぼそと言うと、「病み上がりなのに危ないよ」と桜庭くんに窘められた。

「話したかったんだよ、ちゃんと。なのに、なんにも応答ないし、何回かけても電話も出ないし、学校にも来ないし、今日は学校には来てるはずなのにいつ来ても居ないしさ……。そんな全力で 逃げないでよ」

 嘆息して桜庭くんは立ち上がった。あっという間に身長差は逆転して、桜庭くんは私を見下ろしてくる。

「体調、もう大丈夫?」

「うん。大丈夫。お日様、当たり過ぎたみたい」

 私の答えに、桜庭くんは「ちゃんと水飲みなさい」と、私の頭を小突いて困ったように笑った。

「とわ 泣いた? 何かあった?」

 桜庭くんの指先が、私の目元をそっと撫でる。涙の跡が残っていたのかもしれないけれど、私は、首を横に振った。

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