クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「これから少しやろうと思ってるわ、いつも疲れて寝てしまうけど、今夜は余裕があるの」

仕事が終わるとどっと疲れて最近、薬学の勉強も疎かになりがちだったが、今夜は風来の貴公子に会ったおかげで気分がいい。

「そうか、いつも仕事を任せちまって、本当は学校に通わせてやりたいが……」

そう言って、ふとボブロが顔を曇らせる。

ランドルシア王国はその温暖な気候から多種の薬草が豊富に生息する。そして他国に比べ医学の進んだ国でもあり、医学、薬学を志す者も多く、おかげで国民は長寿の民と呼ばれていた。また、ランドルシア城と隣接する医学専門教育の最高峰、サルベール講堂も名高く、この国から優れた医師や薬師を輩出し、中でもマーランダ施療院は大陸内でも名医の揃うと名が知られていた。よって、治療に専念するため、わざわざ遠方の国から多くの患者がこぞってここに集まるのだ。
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