クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「お前は声をかけると、飛んで逃げるような人見知りの激しい子どもだったな」

幼少の頃のアンナを思い出して、ジークが小さく笑んだ。

「私、思い出しました。ずっと忘れていたけど……知らない間に私たち一緒に住んでいたんですね。それに、私が城へ向かう途中、盗賊に襲われたときに助けてくれたのも……ジーク様だったんでしょう?」

すると、ジークは驚いたように目を見開いた。

「なんだ、気を失っているものとばかり思っていたが……気づいていたのか」

「私、見たんです。いつもトルシアンに来てくれていたあの人だって。もしかして、迎えに来てくれた……とか?」

「そ、それは……最近、森で盗賊の集団を見たという報告があったばかりだったし、それに、お前があまりにも来るのが遅いから……」

心配して……と最後は口ごもっていたが、そわそわしてアンナを待っていたなどと言えないようで、ジークは気まずそうに目を反らした。

(やっぱり、あれはジーク様だったんだわ。でも……)
< 212 / 344 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop