クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
今まで知らなかった事実が次々と明るみになると、アンナの頭に疑問がふと浮かんだ。

「ジーク様はなぜ、素顔を見せずにトルシアンに通っていたんですか? 十年も」

「それは……身を隠してでもお前をずっと見守っていたかったからだ」

テーブルの上に置かれたランタンの火が揺れる。そのたびにジークの顔に陰りがちらついた。その表情はどことなく憂いを秘めている。

「見守る……? 私を?」

ジークはなにも答えずにすっと立ち上がり窓辺に立つと、いつまでも降り続ける雨を虚ろな目で眺め始めた。そして深く息づくとジークはゆっくりと口を開いた。

「お前の父上が殺されたのは……私のせいなんだ。お前から夢や希望を奪ったのも全部」

「え……」
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