クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「ん? なんだかいい匂いがするな」

ジークがスンと鼻で短く匂いを嗅ぐ。

「あの、お腹空いてませんか? ジーク様に食べてもらおうと思って……」

喜んでくれる姿を想像して、わくわくしながらアンナがクロッシュを開けると、食欲をそそるような匂いがふわっと広がった。

「チキンか、私の好物だ。ちょうど小腹が空いていた」

「本当ですか! よかった!」

チキンが偶然にもジークの好物だったと知って、アンナは顔を綻ばせた。早速と言わんばかりにジークは椅子に座り、カトラリーを手に取る。アンナもジークの横に座り、ジークがナイフで肉を切って口に運ぶのをじっと見つめた。ひとつひとつの所作が上品で、見ているだけでもドキドキした。

「ど、どうですか?」

「うん、うまいな。お前の作る料理はどれも美味だ」

小腹が空いていたと言いつつも、本当はかなり空腹だったのではないかと思うほど、ジークはそれをあっという間に平らげた。

「よかった! ジーク様、ちゃんと食べているか心配だったので……それにこうしてみると、なんだか……」

――旦那様に食事を作って帰りを待っている奥さんみたい。
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