クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
恥かし気に顔を背けるアンナにジークはニヤリとしている。そんなふうに尋ねられると何も言えなくなってしまう。なぜなら、本当のところ嫌などころか、もっと口づけていたいという気持ちがあったからだ。

「どうして……口づけなんて、あっ」

真っ赤になりながら小さく呟く。すると、再び引き寄せられて腰に腕を回された。椅子に座っていると逃げ場がなくて困る。

「お前が可愛くて。つい、な……クッキーもうまいが、お前のとろけるような唇はもっといい」

ふっと口の端を押し上げて、ジークはアンナのぷっくりとした唇の形を確認するように指先でそっとなぞった。

揺るぎない蒼海の瞳。その眼差しは深く静かでどこか危うい熱を孕んでいる。見ているだけでグラリと心が揺れる。

「一国の王がこんな戯れのようなことをして、私の部下が見たらきっと冷めた目をするだろうな。けど」

愛おし気に親指の腹で何度もアンナの白い頬を撫でながらジークは囁いた。

「お前だけの前でなら、こんな馬鹿なことも平気でできる。それほど、私はお前に気を許して心を休めているということだ」

「ほ、本当に?」

ジークにそう言われると、アンナは自分の存在の意味を見いだせたようで嬉しかった。
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