クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「それは、私のことをまだ愛しているということ?」

「ああ。愛しているよ、ベアトリクス」

ベアトリクスがランドルシア国王アルフレッドに嫁ぐ前、ふたりは恋人同士だった。しかし、彼女の父の反対により、止む無く引き裂かれてしまったのだ。

「私、アルフレッドが不治の病に侵されていたこと……実は婚儀を交わす前から知っていたのよ。だって彼がそう私に教えてくれたんですもの」

「なんだって?」

「アルフレッドはそう長くない。だから私、彼のもとへ嫁いだのよ。でも、すでに第一王妃のアリシアがいた」

とっておきの秘密を口にして、ミューラン卿の反応を楽しんでいたかと思えば、ベアトリクスは急に声音を沈めて眉間に皺を寄せた。

「あの女よりも早く子どもを産んでアルフレッドが死んだら私は女王になるって、そう思っていたのに……あの男が全部いけないのよ、あの男が!」

口調を荒げ、ベアトリクスは髪の毛を掻きむしるように頭を抱える。

「おい、落ち着くんだ。ベアトリクス! 落ちつ――」

取り乱すベアトリクスの肩を揺らすが、血走るその目を見てミューラン卿は言葉を呑む。憎悪が渦巻くその瞳に悪魔の笑みを見たような気がしたのだ。

「ベアトリクス……」
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