クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
ミューラン卿に宥められ我に返ったのか、ベアトリクスはピタリと動きを止めて俯いた。

「ごめんなさい。私、時々自分がよくわからなくなるの。ねぇ、グレイグ……私を愛しているのなら、お願いがあるのよ」

普段眉ひとつ動かさないミューラン卿だったが、上目使いのベアトリクスを困惑しながら見下ろした。昔からベアトリクスの言う“お願い”は無理難題なことが多いのを知っているからだ。

「お願い? それはなんだ?」

「ふふ、あなたにしかお願いできないことよ。大丈夫、私には頼もしい協力者がいるから安心して」

ぎゅっとミューラン卿の身体に腕を回して抱きしめると、ベアトリクスは人知れずクスリとほくそ笑んだ――。
< 268 / 344 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop