クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「私はベアトリクス。初めまして……ああ、会いたかったわ」

(ベアトリクスですって!?)

何か悪い夢でも見ているのではないか。しかし、冷たい指で触れられたその感覚が確かに目の前にベアトリクスがいるのだと告げている。

(ジーク様が探している人が……どうしてここに?)

あまりの恐怖に声も出ない。乾いた喉の奥が今にもへばりつきそうだった。暗闇で顔すらわからないがそのとき、ベアトリクスのほかにも誰かいる気配を感じた。

「ベアトリクス様、あまり長居されると人が来ます」

右手のほうから聞き覚えのある女性の声がした。

「その声は……ソフィア様? ソフィア様ですか!?」

「シッ! 大きな声を出さないで」

ソフィアもまたベアトリクスを捜索していたひとりだ。それなのに一緒にいるということは一体どういうことなのか。アンナの頭の中が次第に混乱していく。

「どうしてもあなたに会いたいって、ソフィアにお願いしたのよ。製薬室を開けてくれたのも彼女なの」

「え……」

「十年前、私の計画のすべてをぶち壊してくれた元凶の娘……けど、実際会ってみるとこんなに可愛らしいお嬢さんだったなんて、会えて嬉しいわ。私は夜目がきくからあなたのことはちゃんと見えているわよ」
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