クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
おそらくもう正午は過ぎている。アンナの腹の虫がぐぅぐぅとそう告げていた。地べたに座り、ミネアが作ってくれたサンドイッチをひとかじりする。森の中の静寂は心を休めてくれる。一日中ここにいてもいいくらいだ。よほど空腹だったのか、アンナはあっという間にサンドイッチを平らげ、先を急ごうと立ち上がったときだった。急に頭上が陰り暗くなる。先ほどまで青々とした晴天だったのに、気がつけばどんよりとした灰色の雲に覆われていた。

(大変! 雨が降りそうだわ)

そう思った矢先、案の定ポツポツと大粒の雫が頭や肩に落ちてきた。

(こんなことなら薬草にかまけていないで早く城へ行けばよかったわね)

ここで雨宿りをして、いつ止むかわからない雨を待っていてはそのうち日が暮れてしまう。幸いさほどまだ雨脚も強くない。アンナは袋からスカーフを取り出してさっと頭に巻くと、立ち止まらずにそのまま足早に歩き続けることにした。
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