クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
(寒くなってきたわ……)

雨のせいで気温が下がり、首元から冷気が入り込まないようにスカーフを手繰り寄せる。そして、葉を打つ雨の音を聞きながらそろそろ森を抜ける頃だった。ふと視線の先に人影が見えた気がした。目を凝らしてみるとやはりそれは人のようで、ひとりではなく、三人の男が横並びに歩いて来るのが見えた。

王都近隣の森の中で人とすれ違うのは珍しいことではないが、徐々に近づいて来る人影にアンナは嫌な予感がした。それに森の中は平和なことばかりではない。王都には法規から逸脱した集団が盗賊となり、森で生活しているという噂を聞いたことがある。その話を思い出すと、アンナの背筋がぞっとした。急いで木陰に隠れようとしたが、すでに向こうはアンナの存在に気がついてしまったようだ。

「よう、ねえちゃん。こんな森の中でひとりかい?」
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