クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「何ももってなきゃ、そいつを寄こしな」

「これは駄目!」

ふてぶてしく手を伸ばされて、アンナは咄嗟に髪飾りを外してそれを握りしめた。が、その行為が裏目に出てしまった。

「そんなに大切なものなら、よっぽどいい物なんだろ? よく見たら金でできているし、おまけに水晶だってついてるよなぁ」

きっと盗んでから質屋にでもいれるつもりだ。誕生日にもらった大切なものを奪われるわけにはいかない。かといって、まったく護身術の心得のないアンナはこの状況をどう切り抜けるか思案した。雨の雫が頬を伝い、顎からぽたりと落ちる。

「お嬢ちゃん、よく見たら可愛い顔してるな。こりゃ、奴隷市場でいい値がつくかもしれないぜ」

そう言われてアンナの身体がぶるりと震えた。王都には奴隷市場というものがある。孤児を貴族が買い付けて、否応なしにその後は主にされるがまま……。

(いや……怖い)
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