クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
確かランドルシア城に向かうべく森の中を歩いていたはずだ。その途中で盗賊に襲われて、それから……思い出せない。落ち着いて記憶を辿ると、最後に見た深緑の外套の影が脳裏をかすめた。

「っ! 風来の貴公子!」

「……は?」

心の声が思わず口に出てしまい、アンナはハッと口を押えた。訳の分からないやつだ。というように、碧眼の男が目を細める。

「お前、よほど頭の打ちどころが悪かったようだな。ここは現実の世界だ、わかるか?」

記憶に残った微かな残像にアンナは戸惑いを覚えた。男に頭の打ちどころと言われて、盗賊に殴られたことを思い出す。後頭部にまだ違和感はあるがほかに異常はないようだ。

(そうだわ! 髪飾りはどこ!?)

地面に落ちた髪飾りを手にした感触が不意にアンナの記憶を呼び起こす。慌ててぺたぺたと頭に触れてみるがなにもない。
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