クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
(どうしよう、やっぱり落としてしまったんだわ)

顔面蒼白になるアンナを見て、「探しているのはこれか」と男がすっと布にくるんだ物を差し出した。両手で受け取って布をめくると、アンナの髪飾りがきらっと姿を現した。

「ああ。よかった!」

なによりもこの髪飾りが無事だったことに安堵した。アンナはほっとして胸を撫で下ろすとすぐにそれで髪を留めた。

「ありがとうございます。これ、誕生日の贈り物で大事にしていたんです。盗賊に盗られなくてよかった」

ようやく見せたアンナの笑顔に男も微かに笑んだ。そっけない素振りだが、顔を和らげる彼につい見惚れてしまう。

「あの、私、アンナ・ローランドと申します。明日からランドルシア城でお勤めすることになっていて、そこに向かう途中だったんですけど……ここはどこですか?」

いまだに自分の身になにが起きたのか把握しきれていないアンナに、男が言った。
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