クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
アンナがそう言うと男がすっと椅子から立ち上がった。見上げる角度で身長の高さを悟る。

「まったく、丸腰で森をひとりで出歩くなど、無防備にもほどがある」

説教交じりの厳しい口調にアンナはしゅんと肩を落とす。今まで森の中で襲われたことなんてなかった。それにまさか自分が盗賊に出くわすなんて予想だにしていなかったのだ。城へ向かうことで気持ちが浮かれていたのかもしれない。

「すみません……」

ここへたどり着けたのは運がよかったのだ。そう思うと、護身用に短剣のひとつでも持って来ればよかったと迂闊な行動に後悔した。

「その髪飾り、よく似合っている。だからなくしたりするなよ?」

俯くアンナに今度は優しい口調で男が言うと、頭にそっと触れて撫でた。まるで怒られた子どもみたいだ。
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