クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「ここは冬場でも水しか出ないから手が荒れちまうよ、いいのかい?」

「大丈夫です。任せてください」

調理場は皿洗いができなければ仕事にならない。それを知っているアンナは率先して次々と皿を洗っていった。実のところアンナは皿洗いが得意で、その速さはボブロとミネアの折り紙つきだ。今まで山だった皿があっという間になくなり、マーヤも唖然として見ていた。

「はい。終わりました! 次は何をすればいいですか?」

「あんた、なかなかやるじゃなない。あの人より断然役に立ちそうだわ」

そう言ってマーヤは掃除をしているウィルに視線をやり、声を立てて豪快に笑った。

「そうだね、まずは調理場に慣れてもらうために倉庫や窯の使い方を教えてやらなきゃね」

マーヤはいたくアンナが気に入ったようで、そのほか調理場で働いている面々にアンナを紹介し終わると、地下にある肉や野菜の貯蔵庫の場所や器具の使い方など一日がかりでアンナに教えた。

アンナにとっては今までずっと食堂で調理をしていたこともあり、器具の使い方はさほど難しいものではなかった。食材の場所や、配膳の流れなどを把握すればすぐにでも戦力になると調理場の使用人たちは喜んでアンナを歓迎したのだった。
< 57 / 344 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop