クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
夕食どきの調理場は、まるで戦場のようだった。

今まで経験したことのない忙しなさにまだ初日とはいえ、みんなの足手まといになってしまったのではないかとアンナは落ち込んでいた。頼まれた調味料の場所がわからずにあたふたして無駄な時間がかかったり、作った事のない大量の肉料理に戸惑うばかりだった。

ここの調理場で作られた食事は主に階級の高い騎士や王族たちに振舞われる。身の回りの従事をしている使用人は手をつけられない。今朝、アンナに出された食事は特別なものだったのだ。

時刻はすでに二十二時。

(疲れた……はぁ、でもそんなこと言ってられないわね。ボブロおじさんに恥をかかせるわけにはいかないもの)

調理場の人達はそれぞれ寄宿舎へ帰り、人気も少なくなった。そこへウィルが温かい紅茶を手にアンナのもとへやってきた。
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