クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「お疲れさん。さすがボブロの娘だな、なかなかの働きぶりだったぞ。ほら、これでひと息つきな。腹減ってないか?」

言われてみれば朝食をとったきりで水さえも口にしていなかった。しかし、緊張していたためか、食欲が沸く余裕なんてなかった。

「大丈夫です」

「そうか、飯の心配はするなよ? 調理場の使用人には多少のまかないが許されているんだ。好きなときに何かつまむといい」

温かな紅茶の入ったカップをアンナに手渡すと、ウィルはにこりとした。

「ありがとうございます。まだまだ教えてもらわなきゃならないことがたくさんありそうです」

そう言って苦笑いすると紅茶をひと口飲んだ。じんわりと身体が温まり、香り高い風味が鼻から抜けてほっとする。

「あとでマーヤに寄宿舎へ案内してもらいな。今度からそこで生活するんだ。早いとこ慣れてもらわなきゃな」

ウィルとマーヤは王都に住んでいて、毎日通いで働いている。寄宿舎には王族お付きの侍従やそれぞれの使用人たちが主に住んでいるらしい。
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