クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「ありがとうございます。私、木登りは得意なんです」

なんだか悪巧みをしているようで後ろめたかったが、講堂を見てみたい気持ちは抑えることができなさそうだ。

「そういやお前さん、昨日さっそく国王様に会ったんだろ?」

「こ、国王様に?」

当然のように言われてアンナは大きな目をぱちくりさせた。国王に会った記憶はない。そのとき、昨夜の男の姿がアンナの脳裏をよぎった。

(まさか……そんなはずないよね?)

「あの、国王様って青い目をした――」

「ああ、ジーク・エル・ヴェルサス国王様だ」

恐る恐る尋ねると、ウィルは我が国の象徴だと誇らしげに言った。

(ええっ!? 昨日のあの人が……ランドルシア王国の国王様、だったの?)

あまりの驚きに手にしていたカップを落としそうになってしまう。慌てて持ち直すと、アンナは知らないうちに国王に出会っていたことに動揺した。
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