クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「お帰りですか? すみません、また色々お喋りしすぎてしまって」
口数の多い女ははしたない、とまたミネアにチクチク言われてしまう。けれど、彼が目の前にいるとつい浮かれてしまうのだ。そんなアンナに彼はふるふると首を振り、硬貨を取り出すとアンナに手渡した。
「いつもありがとうございます」
(……あれ? 指輪?)
この瞬間だけ唯一彼に触れ、手先だけが袖口から覗く。しかし、違和感があった。いつも右手で硬貨を出すのに、今夜は左手だったのだ。そう言えば、食事をしている手も左だったような気がしてハッとした。そして、左中指にはめられた金の指輪にアンナは目を奪われた。
アンナは視力がいい。指輪の印台に掘られた小さな紋章のようなものが目に入りじっと見入ってしまった。それはゴブレットの脚に花をつけた蔓が巻きついている特徴的な紋章だった。
(これは……)
口数の多い女ははしたない、とまたミネアにチクチク言われてしまう。けれど、彼が目の前にいるとつい浮かれてしまうのだ。そんなアンナに彼はふるふると首を振り、硬貨を取り出すとアンナに手渡した。
「いつもありがとうございます」
(……あれ? 指輪?)
この瞬間だけ唯一彼に触れ、手先だけが袖口から覗く。しかし、違和感があった。いつも右手で硬貨を出すのに、今夜は左手だったのだ。そう言えば、食事をしている手も左だったような気がしてハッとした。そして、左中指にはめられた金の指輪にアンナは目を奪われた。
アンナは視力がいい。指輪の印台に掘られた小さな紋章のようなものが目に入りじっと見入ってしまった。それはゴブレットの脚に花をつけた蔓が巻きついている特徴的な紋章だった。
(これは……)