クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「ジーク様……」

貴族が着ていたような白いサーコートを身に纏い、黒いズボンをブーツに入れ込んだ長い足が割れた丈から覗いている。金のベルトには細身の剣を携えていて、アンナは国王の面前で膝を曲げ頭を垂れた。

「顔をあげろ」

「はい」

初めて会ったときも思ったが、見目麗しいその容姿とは裏腹に、どことなく無機質な雰囲気を感じて、アンナはジークを目の前に緊張で言葉も出なかった。ジークは「不審者を見つけました!」と言わんばかりに褒美をねだる犬を両手で撫でまわすと一瞬、口元を和らげた。

(講堂を覗いていたの、見られてしまったわ……どうしよう)

くせのない金の髪が揺れ、真っ青な目がアンナに向けられる。アンナはお咎めを受ける覚悟で「申し訳ございません」とぽつりと俯いて言った。
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