クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「木登りができるくらい足の具合はいいみたいだな」

「……はい。おかげさまで、その節はありがとうございました」

嫌味の混じった言い方にチクリとするが、サルベール講堂を無断で覗きをした罰がどんなものかとアンナはビクビクしていた。しかし。

「すまなかったな、驚かせてしまって。リデルは不審者と判断すると吠えるようにしつけられている」

予想に反したジークの言葉にアンナは顔をあげ、目を瞬かせた。

(不審者って……私のことだよね?)

「あ、あの……私、ジーク様からお叱りを頂戴するものかと思って……本当に申し訳ございません、もう二度と――」

「お前の薬膳だけの知識だけで講義について行くのは難しいだろうな」

「え……?」

ジークは木の根元に腰を下ろし、「お前も座れ」と促した。リデルも主に続いて伏せの体勢で横に着く。
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